rain of tragedy【黒バス/ナッシュ】
第1章 rain of tragedy
「ん・・・。こんな・・・男の跡残して会うつもりかよ・・?ケツの軽い女だと思われて即終了だぜ・・。・・・フッ・・・ハハ・・」
「・・・・っ・・・ん、ん・・・、や・・ッ!」
「なあ・・・?オレのを勃たせる手間が省けて良かったな・・・名無し・・・欲しいだろう?今すぐ」
ナッシュに背後に立たれ、後ろから伸びた彼の手が名無しの顔を固定する。
長い指が顎にかけられて頭部のみを振り向かされると、首筋がぴんと張り、鎖骨が顕著に浮き立つ。
二人がキスを交わすその姿は鏡の中にもしかと映っており、名無しは両手を洗面台につきながら、ナッシュから逃げようと淡く抗った。
けれど、絡み合う舌が彼女の脳に送る信号が、抵抗心よりも快楽を優先させる。
そして唇が解放されたかと思えば、ナッシュは名無しの首筋に口付け、その白い肌にきゅっと強く吸い付いた。
髪をかきあげる動作を取れば即視界に入る・・・そんな場所に残すのは、複数に及ぶそれに追って増やされた、彼のものであるしるしだ。
水音を散らしながら唇を離したナッシュは不敵に笑み、名無しを見下ろして酷く揶揄を漏らした。
自分が今愛玩している女に対する物言いにしては洒落のききすぎた・・・実に度を越した鋭い言葉を。
「・・・・あ、・・ぁ・・・」
ナッシュは、口を少し開き、驚愕の表情のままだった名無しの口腔に自身の指を押し込むと、その指の腹を使い彼女の舌を何度も撫でた。
意味のあるように見えて何の意味も持たない、その行為で変化があったのは、名無しの口角から頬のラインを唾液が伝ったことだけ。
が、ふと名無しが鏡を見ると、はしたない自分の姿が目の前にあり、それゆえにナッシュの言葉がありのままの事実でしかないことを痛感させられていた。
今身体を覆っているのは、彼の部屋着であるTシャツだ。
名無しの体躯にはあまりにも大きすぎるナッシュのそれは、裾が下半身をぎりぎり隠すだけの状態で、当然下着は着用しないまま眠っていた。
裾ごし感じたのは、ぴたりと密着させられたナッシュの身体。
そのローブの奥に確かにある、既に熱を持った体積あるものに、名無しは思わず生唾を飲み込んだ。