第1章 刀剣女士顕現
主「お前達が雫を気に入っていることはよく分かった。ところで、部屋をどうしようか?もう空き部屋がないんだが……」
困ったな、と腕を組み、うんうんと唸る審神者。その審神者の発言を見逃す新選組ではない。我先にと審神者にいっせいに詰め寄せた。
加州「はいっ!はいはい!しぃは俺達と同室!部屋が少し狭くなるとか気にしないから!」
堀川「いいえ!しぃは僕達と同室です!雫のお世話役は僕と昔から決まっているんです!」
大和守「うそつけ堀川!そんなの決まってないし、和泉守のお世話だけしてろよ!」
堀川「僕は兼さんのお世話役じゃなくて、助手!お手伝いしてるんです!しぃはお世話したいの!」
和泉守「言ってやれ、国広ぉ!」
堀川「お世話しまくって、いつか僕がいないと生きていけなくなるように……」
ふふっ、ふふふふふ……と黒く笑う堀川に、和泉守が冷や汗をかきながら声をかける。
和泉守「おい、国広ぉ……」
加州「お前の黒いとこ、出てるけど。堀川」
大和守「やっぱり危ないね」
満場一致で堀川の邪道さに選択肢が一つ消えたところで、長曽根が仕方ないという風に手を上げた。
長曽根「じゃぁ、俺と同室は……」
加州・大和守・和泉守・堀川「絶対却下!!」
長曽根「何故だ!?」
加州「俺達は二人部屋だよ!」
大和守「長曽根さん、一人部屋じゃん!」
長曽根「だから、雫も広く……」
堀川「危ないって言ってるんです!」
『危ない……?』
加州「こんなに可愛いしぃと二人きりなんて、長曽根さんは絶対食う!」
長曽根「は、はぁっ……!?」
『……食う?』
和泉守「やめろよ……雫に?が飛んでるぞ」
ぎゃぁぎゃぁ論争というには聞くに耐えない口論が顕現部屋に飛び交う。その状況に付いていけず、?を浮かべるばかりの雫と呆然とする審神者。
主「こんなに壊れたお前たちを見るのは初めてだよ……」
悲しげに響く審神者の声は、新選組の誰に届くこともなく音の波動に消えていった。