第2章 初出陣
朝方、雫は寝苦しさで目が覚めた。
『ん……?』
少し身をよじらせて起き上がり、自分が寝ていたところを振り返った。
『あらら?ふふっ』
雫はそれを見て寝苦しさの理由を知った。加州と大和守が雫を挟んで密着した状態で眠っていたのだ。
まるで前の主の平隊士時代のようだ。
ハルは近藤のヘッドハンティングだったが、土方の進言により、平隊士から始まった。しかし、彼女は努力を惜しまなかったために半年という異例の速さで観察方兼副長付小姓になり、幹部に近い位置にいられるようになった。
そのため、ハルの平隊士時代は短かったとはいえ、それは雫とハルの記憶に強く残っていた。
『あ、朝餉』
昔の感傷に浸っていたところ、今日早起きした理由を思い出して、雫は慌てて身支度をして、台所に向かった。
台所にはすでに歌仙と燭台切がそれぞれ朝餉を作っていた。雫が遅れたことを謝罪すると、二人は爽やかに迎えた。
『ごめんなさい。遅れてしまって』
歌仙「いいや、大丈夫だよ」
燭台切「早速で申し訳ないんだけど、卵焼きお願いしていい?」
『承知しました』