第1章 刀剣女士顕現
夕餉を終え、雫は歌仙と燭台切と共に洗い物をしていた。
燭台切「助かるよ。やっぱり女の子は気が回るなぁ」
歌仙「そういえば、弟の話は本当かい?」
『弟の、話……ですか?』
歌仙「和泉守兼定だよ。同じ刀工なんだ。といっても代は違うんだけれど。ほら、君の元主が、新撰組の食事を一人で作っていたという」
『はい。でも、私が料理していた訳では……』
雫が苦笑しながらその弁解をすると、すかさず燭台切が詰め寄った。
燭台切「僕達も元主が作っていたから作れるんだ。もしかしたら君も、と思ってね」
歌仙「無理にとは言わないが、良かったら、明日の朝餉を一緒に作ってくれないかい?」
元々頼まれるのには弱い雫。そんな雫が二人の頼みを無下にできるはずがなかった。
お役に立てるのなら、と頷いた雫に、二人はありがとう、助かるよ、と微笑った。