第1章 刀剣女士顕現
雫が部屋に戻れば、すでに大和守と加州が待っていた。
加州「遅い!どーせ歌仙と燭台切に捕まってたんだろーけど」
大和守「僕達だって、しぃといっぱい話したいのにさ」
加州はぷんすかと、大和守は頬を膨らませて拗ねていた。まるで子供のような二人に雫は弟をみるような感覚になっていた。
『ごめんね。明日から朝餉を作ることになりました』
加州「ほーら、みたことか。やっぱ捕まってんじゃん」
大和守「しぃのご飯は食べたいけど!」
加州「まぁ、いーよ。今からは暇でしょ」
大和守「いっーぱい話すからね」
『明日もありますから、寝かせてくださいね』
加州・大和守「「あたりまえ。しぃの健康に悪いことを俺(僕)がさせるわけない」」
息がぴったりな沖田組に、苦笑いの雫であるが、それでも旧友との久々の再会を喜んでもらえることは嬉しかった。だから、思わず、自分から言ってしまった。
『さて!なにから話します?』
加州「おっ!いーね、まず安牌でいく?」
大和守「結局君たちどうなったの?凄く気になるんだけど」
『あぁ、基本は歴史の通りです。戊辰戦争を生き残って、瀕死の状態で新政府軍に捕縛され、ハルちゃんは拷問を受けましたが、口を割らず、衰弱して獄中死』
大和守「獄……そっか」
楽しげな雰囲気から一転、雫の話に重く暗い空気が流れた。加州も大和守も、まさかあの二人がそんな波乱な最期を迎えていたとは露にも思わず、絶句した。
その空気を打破しようと、加州が口を開いた。
加州「……話、変わるけどさ。人の身ってどう?」
『不思議ですね、あの頃は毎日見ていたものが
自分の一部なんですもの』
大和守「だよね!特にさ……」
先程の空気が嘘のように明るくなり、空気を変えることに成功した加州は気付かれないようにほっと息をこぼした。
そうやって、夜は更けていった。