第4章 別れの痛みは再会の喜びに比べれば何でもない
出口までの廊下を、
普段よりも少しゆっくりと歩く私に
お兄ちゃんも合わせてくれてる気がしたのは
私の勘違いなのかな・・・?
『ねぇ、びっくりした・・よね?』
「そうだな。 もう会えねぇと思ってた。」
『・・そっか。』
お兄ちゃんはどういうつもりで言ってるの?
少しでも会いたいと思ってくれてた?
『私ね、
お兄ちゃんに会うために
雄英に来たんだよ。』
「・・・!」
お兄ちゃんは細い目を見開き
驚いた様子だった。
『でも、お兄ちゃんは・・
"あの人"と同じで、
もう私は必要じゃなくなった・・・?』
こんなこと自己満足でやってるのに、
私は勝手に泣き出しそうになっていた。
そんな表情を見られるのが嫌で俯くと、
急にお兄ちゃんに腕を引っ張られた。
『わ、っ!』
廊下階段横の少し影になったところで、
私はお兄ちゃんの胸にすっぽりはまっていた。
「んなワケねぇだろ・・俺だって・・・!」
『・・・しょーと、お兄ちゃん・・』
それ以上は言わなかったけど、
お兄ちゃんは私をぎゅっと強く抱きしめる。
ーーあぁ、私は幸せ者だ。
好きな人にまた愛して貰えてるのだから。
たとえそれが義妹としての好意だとしても。