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【MHA】私の好きな人と私を好きな人

第4章 別れの痛みは再会の喜びに比べれば何でもない




『っふ・・・うぇ・・』

「綾乃・・泣くなよ。」

『だって・・ごめ・・・っ』

小さい頃と同じように、
お兄ちゃんは私を慰めてくれる。
私の目尻をお兄ちゃんの指がなぞり涙を拭う。

思わずお兄ちゃんの顔を見ると
そのお兄ちゃんの目が、
私を捕えて離さなかった。


『・・お兄ちゃん?』

「・・・・・・」


不思議そうに見つめる私に、
お兄ちゃんも無言のまま見つめている。

どうしよう、なんかこれ・・

だんだん顔が熱くなってきた。
密着した身体に見つめ合うこの状態。
しかもずっと好きだった相手だ。

期待しないほうが無理ーー

なんて思った私の思考が一瞬で止まった。
お兄ちゃんから離れる身体。
ゴツゴツとした腕に引っ張られ
次に私が収まったのは勝己くんの腕の中だった。


「てめェ・・人の女に何しとんだ」

『勝己くん・・・!』

「まだ何もしてねぇよ。」

「あ"!?まだもこれからもねんだよ!!
綾乃に触んなつったろ!!」

「それはお前が決めることじゃねぇだろ。」

「るっせんだよごちゃごちゃと!!」

『ちょ、2人とも落ち着いて・・・』


勝己くんはいつも通りとして、
お兄ちゃんがこんな流暢に
言葉を返すのも珍しい・・・。


「綾乃、帰んぞ」


勝己くんはグイと私の腕を掴み
この場を立ち去ろうとする。

『あっ・・・お兄ちゃん! また明日!』

慌ててお兄ちゃんに別れを告げ、
大人しく勝己くんに付いて行った。

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