第4章 別れの痛みは再会の喜びに比べれば何でもない
相澤先生の目が(あと髪型も)元に戻った。
出久くんはブツブツと呟きながら
ボール投げの円の中へ戻る。
「指導を受けていたようだが・・」
「除籍宣告だろ。」
『そんな・・・』
私が心配そうに出久くんを見てると
思いっきり勝己くんに睨まれる。
「そんなにデクが心配かよ。」
『・・・だって・・』
私が言いかけたところで、
出久くんが大きく振りかぶる。
さっきまでと違うのは出力のタイミング。
「今!」
その瞬間ボールは彼方へと飛んでいった。
出久くんが初めて出したヒーロー並の記録だった。
「先生・・・! まだ・・動けます!」
「こいつ・・・!」
相澤先生は目を見開き
どこか嬉しそうな表情だった。
「やっとヒーローらしい記録出したよー!」
「指が腫れ上がっているぞ、おかしな個性だ・・」
「・・・・・!!!」
お茶子ちゃんは自分の事のように
出久くんの記録に喜んでいた。
入試時にも怪我をしたのを知ってる
飯田くんらも不思議そうに見ていた。
ただ1人、出久くんを無個性だと
誰より馬鹿にしていた勝己くんだけは、
まさに開いた口が塞がらない状態だった。
「どーいうことだコラァ!!
ワケを言えデクてめぇ!!」
「うわああ!!」
怒りで右手を爆発させながら、
勝己くんは出久くんに襲いかかる。