第1章 人が心から恋をするのはただ一度だけである
ーーーあれから8年
私はお兄ちゃんや家族から離れ、
一人家を出ていた。
理由は父親にあるんだけど、
その話はまた追々・・・・
大好きだったお兄ちゃんとは、
当たり前だけど別の中学になってしまった。
私はお兄ちゃんとの再会を夢見て
雄英高校ヒーロー科を受験することに、
・・・・したんだけど。
「あぁ?・・・てめェ雄英うけんのか?」
雄英のパンフを盾にして
怯える私を睨むのは、
クラスメイトの爆豪勝己くん。
『あの、その、
・・・・・受けます・・けどぉ・・・』
蚊のなくような声で答える私を
これでもかという威圧で見据えていた。
「・・・クソが。3人目がいたのかよ・・・・」
『・・・・ふぇ?』
ボソリと呟いた爆豪くんの言葉が
理解できなくてポカンとしていると、
ドカァッ!
突然、私の顔面横スレスレの壁に
爆豪くんが拳をぶつけていた。