第3章 恋は意思とは関係なく生まれ、そして滅びる
振り返れば怒りのオーラ出まくりの
勝己くんの姿がそこにあった。
「・・・オイそこの半分野郎!
馴れ馴れしく綾乃に触んじゃねェ!」
(いや触りに行ったの私だけども!)
「・・・? すまねぇ。」
お兄ちゃんはといえば、
状況がいまいち掴めてないようで
とりあえず勝己くんに謝っていた。
ああ、そんな天然なお兄ちゃんも可愛い・・・
でもそれが逆に彼を
更にイラつかせたようで
勝己くんは今にもお兄ちゃんに
飛びかかりそうな勢いだった。
そんな不安をよそにお兄ちゃんは
改めて私の方を見る。
「綾乃、お前・・」
お兄ちゃんは言いかけて
何を思ったのか口を閉じた。
・・まぁ言いたいことは何となくわかる。
上手く言葉が出てこなくて
私もお兄ちゃんを見つめる。
すると突然勝己くんに腕を引っ張られ
そのまま彼の腕の中に引き込まれた。
「・・クソ兄貴だか何だか知らねぇが
綾乃は俺んだ。
気やすく見つめてんじゃねぇぞ!」
クラス中から黄色い声とともに
何とも言えない悲鳴が溢れた。