第2章 迷っているのは、進もうとしているから
『2人とも、大丈夫!?』
出久くんの下へ駆け寄ると、
彼の右手は驚くほど
バッキバキに折れていた。
女の子は個性の使いすぎだろうか、
体調が悪くなり戻している様子だった。
「ぐっう・・あの人は・・・!?」
『無事だよ!てか出久くんのがヤバイ!
無理して立ったら危ないって!』
「良かった・・・!
うっ・・・せめて・・1ポイントでも・・・!」
まだ生きてる左腕で
必死に体を動かす出久くん。
その時無情にも会場にあの声が響き渡った。
「終了~!!」
出久くんの表情が絶望で溢れた。
そこで私は、彼がまだ
0ポイントなのを初めて知った。
その後雄英の看護教諭だという
リカバリーガールが出久くんの腕を
治療してくれていた。
最後に見た出久くんの表情が
頭にこびりついたまま、
入試試験は幕を閉じた。
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ーー入試の帰り道。
勝己くんが家まで送ってくれるというので
お言葉に甘えることにした。
『・・かっこよかったな・・・』
「あ"ぁ!?」
『あ、勝己くんじゃなくてね!』
「・・殺すぞてめぇ」
いつも通りのやり取りに
どこかホッと安心してしまう。
・・だが、次の私の一言で
また彼の機嫌を損ねてしまうのだった。
『出久くん、ホントすごかったよ!
本物のヒーローみたいだったもん。』
「・・・あ?デクだぁ?」
(あ、やばい。地雷ふんだ・・)
ただでさて強面な勝己くんの表情が、
ヴィラン顔負けの恐ろしいオーラを漂わせる。