第2章 迷っているのは、進もうとしているから
私が女の子に駆け寄るその瞬間、
誰かが私を追い抜いて
その脚力で巨大ヴィランの前に跳び
拳を上げていた。
『・・・出久くん!?』
出久くんの腕が
バリバリと服を破り肥大する。
そしてそのままーー振りおろされた。
ドゴォォッ!
ものすごい威力で
殴られた巨大ヴィランは
音を立てながら崩れていく。
「・・お、おおお・・・おおお!!?」
周りはもちろん、
本人も驚いた様子なのが不思議だ。
『・・え、てかやばくない?』
「おぉ落ちっ!落ちるぅ!」
この高さから落ちたらーー!
そう思った時、
女の子がさっきの巨大ヴィランの
パーツ破片にしがみつき浮遊する。
そして、地面から5メートル程まで迫った
出久くんにバチン!とタッチさせた。
(この女の子の個性・・無重力?)
出久くんの体が宙に浮いたまま
地面わずかで止まった。
「解、除」
ドシャッ!
女の子が両指をぴとっとつけると
浮いていた全ての物が
いっぺんに地面に落ちた。