ヤンデレヴィクトル氏による幸せ身代わり計画【完結済】
第3章 少し関係の進んだ身代わりの話
それを聞いたヴィクトルは、がくりとうなだれ、やっとその身を起こすとジト目で桜のほうを見た。
「それはずるくない?」
「なんのことかな?」
「あーあ、せっかくサクラが恥じらいながら俺の家で裸で過ごしてくれると思ったのに、自分の発言に足を引っ張られるとは思わなかったよ…ああマッカチン待たせてごめんね、今用意するからね」
ヴィクトルはため息をついて自身の身支度を済ませると、シーツを洗うから貸して欲しいと桜に頼み、彼女はそれに従った。
そして、ついでに干すから、と上に掛けていた布団も持って行ったヴィクトルの背中と、それについて行くマッカチンの姿を見送り、桜は昨夜着ていた服をとろうとベッドから降りたところで、今ほど出ていった男の名前を叫んだ。
「ヴィクトルーー!!」
「あはははは、早く降りてきてご飯作ってよ」
「し、信じられない!」
そう、ベッドの下には何も無かった。
先程ヴィクトルが持っていったものの中に紛れ込ませ、隠されてしまったのだ。
昨日持ってきた着替えもヴィクトルのいたソファーの近くにおいてある。
桜は何も隠すものがない事に気づいてしまった。
長いため息をついて、仕方がないと腹を括ってあの銀糸を引っ張ってデコピンしてやると息巻いて桜は男の元へと足を運んだ。
そうして、デコピンを決行したところで服は返して貰えず、着替えも隠されており、拗ねた桜はせめて裸を見られないようにヴィクトルの背に回り、ピッタリとくっついて視線から逃れた。
「ていうか、こんな事してよく朝ごはんを作ってもらえると思ったね」
「ええ、作ってくれないの?サクラは俺に餓死しろって言うのかい?」
「私が裸で料理して火傷したらどうしてくれるの?」
「なるほどそれは問題だな、OKこういう時の日本の文化を知ってるよ!」
ヴィクトルにくっついたままついて行けば、取り出されたのはふりふりの真っ白いエプロン。
「日本の文化は割烹着です。勉強し直しを要求します!」
「ええー、このためにサクラを裸のままにしたのに!!」
「もう、誰がこの人にこんなの教えたの!?あ、そういえば前に送った写真は出会い系の写真みたいとかも言ってたよね?そういうの好きなの?」
「うん、嫌いじゃないよ」