ヤンデレヴィクトル氏による幸せ身代わり計画【完結済】
第6章 ヴィクトルが手に入れる話
「遅いから心配になって来たんだ。そうしたら茂みの方から桜の声が聞こえた気がして…本当に桜が襲われてたから心臓が止まるかと思った」
「ヴィーチャ、私、ごめんなさい、助けに来てくれてありがとう」
震える体をしっかりと抱きしめて、宥めるように頭から背中までをゆっくり、ゆっくり撫でていけば、緊張で強ばっていた桜の体から少しずつ力が抜けていくのを感じた。
ヴィクトルは彼女を抱き上げ、家へと歩を進める。
「桜が謝ることなんて何一つないよ、さあ帰ろう?」
「さっきの人は?」
「俺が蹴ったら直ぐ様何処かに逃げていったよ、大丈夫、明日警察に証言しに行くからきっと直ぐに捕まるさ」
「うん」
ヴィクトルの胸に擦り寄って、その安心する香りを吸い込んで、桜は彼にぎゅう、としがみ付いた。
「桜、一緒に暮らさないか?
夜中にお前を1人で歩かせるのがずっと不安だったんだ。お前がまたあんな目にあったらと思うと怖くて堪らない。本当はもっとロマンティックに言いたかったんだけど、結婚しよう、桜これ以上お前と離れているのが怖いよ」
「ヴィーチャ、でも私まだ学生で……うんん、私も凄く怖かった。ふつつか者ですが、よろしくお願いします」
「桜!!一生大切にするからね、リュビーマヤ!」
「こちらこそ、リュビームィ」
お互いに【愛する人】と言い合って、口付けを交わした。
慰めるように大切に、しかし情熱的に桜を抱いたヴィクトルは、気絶するように眠ってしまった彼女の身体を綺麗に拭いてあげながら、ぼそぼそと独り言を呟いた。
「お前を襲った男、あいつはやり過ぎた。
服を破れなんて指示してないのに…言った事もまともに出来ないなんて本当に使えない男だ。
あいつは今頃海の藻屑になってる頃かな。
あいつだけじゃない、お前と拗れる原因になったお友達も始末したし、お前に色目を使う男も貶めようとする記者も全部排除した。
指輪の準備だって済ませてある。
後はお前の両親に挨拶をして、ヤコフやユウリ、チームの皆にも紹介しないとね
お前とユウリがいれば俺は幸せだ。
あとは子供を作れば逃げないよね?
だから早く孕んで…
愛してるよ俺の桜」
終わり。