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ヤンデレヴィクトル氏による幸せ身代わり計画【完結済】

第3章 少し関係の進んだ身代わりの話


帰っていいと言われていたのに、何故か手を離して貰えず、桜は中途半端な体勢のままヴィクトルに手を離してほしいと訴えたところ、きょとんと目を丸くして自身の手の中に桜の手があることを確認して慌てて離した。
どうやら無意識だったらしい。

「あ、俺…ごめん…」

名残惜しそうに桜の手を見つめるヴィクトルに、桜は腹を括ることにした。

「OK、ヴィクトルちょっとマッカチンがいる方につめてくれる?マッカチンごめんねもう少し奥に、うん、ありがとうね」

桜に言われるままに体の位置をずらしていくヴィクトルとマッカチンの姿を確認してから、ベッドへと入る。

そして、熱のせいで熱くなっているヴィクトルの頭を抱き込むと、部屋の電気を消し、片方は頭を撫で、もう片手は布団の上から優しくぽんぽん、とリズムをとるように叩いた。

「サクラ?」

「おやすみヴィクトル」

「いいの?」

「そんな寂しそうな顔見ちゃったら心配で帰れないよ」

「ありがとう……でもどうせならサクラの素肌に包まれたい、絶対その方がリラックス出来ると思う」

「ええー」

「サクラのおっぱいに包まれたい。ブラが硬いし、足にあたる服の感触も嫌だ、全部脱いでほしい」

(いやもうほんと病人じゃなかったら叩いてるところだよこれ…)

桜は内心ため息をつき、仕方なく身を起こし、衣類を脱ぎ去ってもう一度抱き込んであげた。

「おやすみ」

「ーーーうんっ!おやすみ、サクラ!」

ヴィクトルは遠慮無くその柔らかな胸へ飛び込んで腕をまわすと、ふふ、と嬉しそうに擦り寄って、目を伏せた。



それからしばらくして、規則正しい寝息が聞こえはじめたことによりヴィクトルが寝入った事を知った桜も目を閉じて、夢の世界へと旅立った。




夜中、ヴィクトルは熱に浮かされて、何度も目を覚ましてしまった。
怠くて、苦しくて、なぜか涙が出てしまい、目の前にある熱に縋り付く。
その度に桜は起きてくれて、サイドテーブルに置いてあった水を取ってやったり、頭や背中をゆっくり撫でてやったりと、甲斐甲斐しく世話をして、それに安心したヴィクトルはまた眠るというサイクルを繰り返した。
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