ヤンデレヴィクトル氏による幸せ身代わり計画【完結済】
第3章 少し関係の進んだ身代わりの話
「え、えと、ヴィクトル?」
「サクラのお母さんがうちの娘で良ければどんどん相談相手に使ってやってくださいだって、泊まるのもOKって言ってくれたよー、ふふ、これでもう大丈夫だよね?」
(お母さんってば余計は事を!!)
「さ、サクラベッド行こ?あ、そろともお父さんにも連絡した方がいいかな?」
「お母さんが大丈夫って言ったなら大丈夫だよ、だからベッド行こう」
桜は分かっていた。どうせ父に連絡した所で同じような返事しか帰ってこないことを……。
そもそも彼女の両親はこんなに桜がよその男の家に泊まりに行ってるというのに、ヴィクトルが桜を性的な目で見ることは絶対に無い、と初めて話を聞いた時から、その思考を全くねじ曲げぬまま今に至っている。
桜自身ヴィクトルの相談相手になるなんて凄い、頑張って相談に乗ってきたらいい。むしろ下手な男の元に泊まりに行くより安心だ。とつい先日口にされたばかりであった。
結局、次の日の朝、桜が帰ろうとした時、ヴィクトルは明日も泊まりに来てよ、とさらに短い日を設定した事により、流石にそれは体力が持たない、アスリートと一般人の体力差舐めないで、と拒否をした。
「サクラ疲れてたんだね、ごめんね、じゃあ明後日、無理なら明明後日でもいいから来て?」
「明後日は用事があるから、明明後日でお願い、また来たら連絡するね」
「あ、待って、サクラこれあげる」
そうして手渡されたのは可愛い犬のマスコットのついた、小さな銀色の硬いもの…
「これ、なんのカギ?」
「勿論この家のカギだよ、いつもチャイム鳴らしてから俺がドア開けるの待ってもらってるし、サクラなら勝手に入ってきてくれていいと思って作ったんだ。何の約束も無い日に入るのは駄目だけど、…って、サクラがそんな事する筈無いよね、前にそういう常識の無い奴がいて、つい口から出てきちゃった。失礼なこと言ってごめんね」
「いや、てか家のカギなんて貰えない、返すよ」
「ええ、どうして?それで明明後日の夜入って来てよー、お願い!」
カギを軽く握らされたまま、男の大きな手で包まれる。
それから「貰ってくれるまで帰さない」と脅して来たので、彼女は折れざるを得なかった。
(これ本当にどういう関係!?)