ヤンデレヴィクトル氏による幸せ身代わり計画【完結済】
第3章 少し関係の進んだ身代わりの話
「そう?じゃあ、また夜にでも来てよ、学校休みにはいっただろ?泊まれるよね?」
「今日も?でも一昨日行ったばかりだよ?」
「うん、そうだね、サクラの学校が休みになって会いやすくなったよね、あ、そろそろ行かないとまたヤコフに怒られちゃう。じゃあ今夜来てねー」
桜の返事を聞かぬまま彼は走り去ってしまい、会話はそこで終わってしまった。
とくに用事がある訳でも無かったので、桜は言われるままに夜に彼の家へ行くことにはしたけれど、会う頻度がだんだん上がって行くことに疑問を感じた。
(前は1週間から2週間に1回、大体が土曜日の夜に行って次の日の日曜日に家に帰ってた。
それから勝生選手と喧嘩した時に慰めてから火曜の夜に呼び出される事が増えてほぼ週2回。
そして今回またペースが上がってしまった。一昨日、つまり水曜日に家に帰って今日は木曜日…流石にスパンが短い気がする……確かに夏休みに入ったから1限のことを考えなくてもよくはなったけど、このまましてたら私淫乱になっちゃいそう…今日言った時にもう少し会わないように相談してみようかな…)
そんな風に考えて、その夜その事を…流石に淫乱になるかもとは言えずに、親も心配しているから、と全く心配などしていない両親を引き合いに出して、もう少し会う頻度をあけられないかと相談を持ちかけた。
それを聞き、ヴィクトルはあからさまに肩を落としてしょぼくれた。
「ごめんね、俺サクラに甘え過ぎてたんだね、サクラの両親にもご心配をかけてるなんて、本当にごめんね」
「うん、だからね…」
せめて会う頻度を1週間に1回にしてほしい、彼女はそうヴィクトルに伝えたかった。伝えたかったのだが、男はスマホを取り出して、電話を始めてしまったので、彼女はそれを口に出すことは出来なかった。
「ハロー、サクラのお母さんですか?ヴィクトルです。最近週に何度も娘さんを呼び出してしまい、大変申し訳ありませんでした」
しかもいつの間に番号を知ったのか、電話相手は桜の母親らしく、「なんで?どうして?」と桜が頭を疑問符でいっぱいにして固まっている間に、話はどんどん進んで行き
「はい…ありがとうございます。では失礼します」
そうして、通話を終了させてしまった。