第16章 初陣 〜前日譚〜
ーーー五日後。
殆ど寝ずに手を動かして、何とか間に合ったものを持って私は広間に向かう。
信長「……来たな。」
秀吉「その荷物はなんだ?」
そう言ってひょいっと荷物を取られそうになって私は慌ててそれを避ける。
秀吉「……?」
「……っ、あの。信長様。」
信長「なんだ。」
「会議の前に皆さんにお渡ししたいものがあって…」
信長「構わん。」
信長様に許可を頂いて私はまずは信長様に、そして秀吉さん、政宗、家康さん、光秀さん、そして三成くんに一つずつ包みを渡す。
渡し終わって席にもどって、一礼して言う。
「ほんの気持ちです。受け取ってください。」
信長「開けるぞ。」
その言葉にほかのみんなも各々の包みを解き、
中の羽織を広げる。
信長「……ほう。」
秀吉「この布……」
政宗「なかなかの出来だな。」
家康「……へぇ。いいんじゃない。」
光秀「針子というのは伊達ではないな。」
三成「ありがとうございます。」
「一応、動きやすさを重視して作ってみました。」
実はこの羽織には隠れポケットを作っていて、中に羽織と同じ布で作ったお守りを仕込んである。
気づかないとは思うが誰か、気づいてくれたら嬉しいとも思う。
そわそわしていると…
信長「此度の戦にこれを着ていくか。」
「っ……ありがとうございます。」