第15章 再会
二人で黙って帰り道を歩く。
「……ねぇ、幸。」
幸「あ?」
「あの、さ……私は幸の、その…」
心配になってそう声をかける。
それだけで幸も分かったようで、
幸「大丈夫だ。お前は俺の、友達だ。」
振り向いて笑顔で言ってくれるから安心して、幸の三歩後ろから隣に並ぶ。
幸「あと俺は幸村な。みんな幸って呼ぶけど。」
「ゆき…むら……。もしかして幸って呼ばれるの、嫌だった?」
幸「そういう訳じゃないけど、何となくだ。」
「そっか。わかった、幸村。」
幸村「…っ」
幸…幸村は驚いたような照れたような顔でこちらを見る。
何となくそれが嬉しくて。
「幸村」
幸村「おー。」
「ふふっ。幸村」
幸村「……っ、なんだよ」
そんな他愛ないやり取りをしながら歩いていった。
町はもう見えてきてあと少し。
……私と幸村がこうやって話せるのも、あと少し。