第10章 安土で(3)
「あ……」
三成「…?反物屋、ですね…
気になるなら少し見ていきますか?」
「ありがとう、
ちょっと見ていきたいな。」
そう言って2人でお店の中に入る。
「わぁ…素敵……」
三成「舞様は、
反物がお好きなのですか?」
「うん、服が好きなんだ。」
三成「でしたら
あちらに呉服屋もございますよ」
「ありがとう、あ、でも私は、
着るのじゃなくて作る方が好きなんだ。」
三成「舞様は針子なのですね。」
「針子…うん、そうだね。
だからできたら安土でも
その…針子のお仕事を
出来たらな、と思うんだけど…」
三成「それでしたら私の方から
かけあってみます。」
「ほんと!?ありがとう!
三成くん!!」
振り向いてお礼を言うと
三成くんは驚いた顔で
固まってしまった。
三成「……!」
「………?三成くん?」
三成「…………っ、いえ、
その…舞様はそのような顔で
笑うのですね。素敵だと思います。」
「……っ、あ、ありがとう……」
突然褒められて戸惑う。
(お世辞だろうけど恥ずかしい…!
てかそんなに笑ってたのかな…!
それもなんか恥ずかしいよ……!)
舞・三成「「………」」
その後、やって来た店主さんと
お話して、
城へ戻ったのは
酉の刻をすぎた頃だった。