第10章 安土で(3)
「わぁっ………!」
安土の城下は思ったより
栄えていた。
(楽市楽座、だっけ…)
三成「お気に召したようで嬉しいです
が、あまり離れないでくださいね。」
そう言って隣で笑う三成くんは
さっきの赤い顔ではなく、
いつも通りの穏やかな笑みを
浮かべている。
(っ……!政宗と光秀さんのせいで
どうにも意識しちゃうよ……!)
逢引という言葉がちらついて、
頬の熱が冷めない。
三成「舞様?お顔が少し
赤いようですが、大丈夫ですか?」
そう言って三成くんが
顔を覗き込もうとする気配を感じ、
私は慌てて上を向いた………
が、思ったよりずっと近く、
少しでも動いたら
鼻先が触れてしまいそうな距離に
三成くんの顔があって、
途端、2人で固まってしまう。
世界が止まった
その
ほんの1秒後、
二人は弾かれたように身体を離し、
お互いに謝りはじめる。
「ご、ごめん!なんでもないよ!」
三成「すみません!そうですか!
そ、それなら良かったです…!」
「いえ、ご心配おかけして……
あ、ありがとうございます!」
………そしてまた歩き出し、
私はある店の前で思わず足を止めた。