第6章 沈静
私の叫び声で、
信長様の攻撃は止み、
その隙に幸はこちらへ下がってくる。
信長「…貴様、邪魔しおって。」
殺気を隠そうともせず
信長様が私を睨む。
「信長様は…私を安土に連れていく
ためにここに来たんですよね?」
信長「あぁ。だったらなんだ。」
これ以上、幸や佐助君に
迷惑をかけられない。
ぎゅっと拳を握りしめて
私はゆっくり、
間違えないように言葉を発した。
「…だったら……私…
そちらに行きますから…
これ以上はもう……やめてください…」
幸「おい!」
佐助「舞さん!」
「…幸…佐助君……
短い間だったけど、ありがとね。
旅、すごく楽しかったよ。」
そう言って1歩、前に出る。
また1歩、踏み出しながら
私はつづける。
「……もし、それでも斬り合いを
やめて頂けないのであれば、」
そこで一旦区切って、
懐から、いつだったか
佐助君に貰った懐剣を取り出す。
そしてそれを首に当てて言う。
「………今ここで、死にます。」
幸・佐助・秀吉「…!」
政宗「ほう…」
信長「…」
時間が、止まった気がした。