第6章 沈静
信長「……何を
言い出すかと思えば、くだらん。
…もとより貴様がこちらへ
来るのであれば
俺は幸村を斬るつもりは無い。
もっとも、
斬りかかられたら話は別だがな…?」
そう言って信長様は
私の手から懐剣を奪い取り、
反対の手で強引に私を引き寄せた。
「…っ。やめてください!」
思わず身を捩って睨みつけると、
信長「貴様は今から俺の所有物だ。
たった今自らそれを名乗っただろう…?」
だから、どう扱おうと勝手だ。
そう言って信長様は
そのまま私を馬に乗せる。
信長「秀吉、政宗。城に戻る。」
幸「おい!舞!」
既に馬を走らせ始めた
信長達に向かって幸は叫ぶ。
「幸っ…!」
幸「ぜってーお前を
迎えに行くから待ってろ!」
「………っ!」
幸、佐助君、ありがとう。
巻き込んじゃって、ごめんね。
精一杯気持ちを込めて私は手を振った。
怖い。これからどうなるんだろう。
恐怖で体が震える。
でも、
この人たちの前で泣きたくない。
必死に涙をこらえながら、
馬にゆられ続けた…。