第6章 沈静
斬り合いが始まった。
2人とも文字通り火花を散らして
刀を振っている。
(はやすぎて全く見えない…!)
怖いはずの斬り合いなのに、
素人目にも分かる洗練された
2人の刀は美しくて、
思わず見とれる。
どれくらい見入っていたのだろう。
幸「くっ…!」
幸が押され始めた。
1度押され始めるともう、
形勢はあっという間に傾きはじめる。
攻撃を避けきれずに、
幸の服の袖が破ける。
(あと1mmずれてたら…!)
佐助「…あと1mm
ずれてたら大変だった。」
思っていたことと同じことを
佐助君が言ったからか、
さっきまで見入ってしまっていた
斬り合いが突然、
もの凄く恐ろしいものに見えてくる。
(これ以上は幸がっ………!)
幸「ぐっ……!」
幸のうめき声を聞いて
私は思わず叫んでいた。
「やめて!!!!!」