第5章 春日山へ
その頃、安土ーーー。
秀吉「政宗、遅いぞ。」
政宗「悪ぃ悪ぃ、ちょっとな。」
秀吉「また兵糧でも届けに行ってたのか…
それも大事だろうが、今は御館様の………」
政宗「分かってる分かってる。それより…
ここ2日3日でどっかの大名の姫があの山を
通ったりしなかったか?」
秀吉「いや、そんな話は聞いてない。
どうしてまたそんなことを…?」
信長「どういうことだ?
その話、詳しく聞かせろ。」
秀吉「の、信長様!」
慌てて跪く秀吉を全く気にせず
信長はズンズンと畳の上を進んで
上座に座った。
政宗も座り慣れた定位置につきながら…
政宗「無事で何よりだ。
話を聞いた時は驚いたぜ。」
信長「ふん。あれくらいのことで死ぬ輩とは
貴様は同盟なんぞ組まないだろう?
それより、さっき姫がどうとか言っていたな。」
政宗はふっと笑い
それから真面目な顔になって、
政宗「あぁ、帰り道こんなものを拾った。
初めて見る物だし、
石もついてて高価な物のようだから
少し気になってな。」
そう言って、懐から髪飾りを取りだす。
信長「よく見せろ。」
そうして信長は髪飾りを手に取り、
よく見たあと、
信長「これをどこで拾った。」
政宗「いつもの帰り道の山で。」
信長「あの山か…。よし、行くぞ。」
秀吉「今からですか!?」
信長「あぁ。
今から行けば追いつくかもしれん。」
政宗「なんだってそんなに、
急いでるんだ?
思い当たる変な動きでもあるのか?」
信長「お前もついてこい、政宗。
詳しくは道中で話す。
あと、お前もだ、秀吉。」
秀吉「はっ。」
信長は他に広間に座っていた
武将達の方を向き、
信長「貴様らはまた明日集まれ。」
土産を期待していろ。
そう言ってさっさと広間を出てしまった。