第31章 影
京にほど近いある山に、夜中、一人の男が向かった。
男「顕如さま。……女が、城を出たそうです。それも、一人で。」
顕如「ほう…詳しく。」
男「はっ。……どうやら女はくにに帰るようでして、護衛もつけず一人で草津の方へ向かっているようです。」
顕如「草津……そうか。だが草津の姫では無かったはずだな。…なら草津で一晩は泊まるだろう。待ち伏せして捕らえろ。」
男「分かりました。では失礼致します。」
そして音もなく男はその場を離れた。
顕如と呼ばれた男は、一人呟く。
顕如「ようやく……ようやく私にも運が回ってきた。信長…………お前の首、地獄への土産にしてやるわ。」