• テキストサイズ

戦国のシンデレラ

第25章 初陣(7)


三成くんは目を伏せそのまま歩いていってしまった。


(何だったんだろう……?)


小首をかしげていると後ろから声がかかる。


政宗「ほら、食え。お前の分だ。」


「あっ、ありがとう!
美味しそう……いただきます!」


ひとまず席について朝餉をとる。




政宗の作った朝餉は質素だけれど相変わらず美味しくてあっという間に平らげてしまった。








「あの、信長様……」


信長「入れ。」


朝餉を食べ終え、片付けも終えて信長様の天幕にやって来た。


信長様は既に荷物もまとめ終わったようで特に何をするわけでもなく、ただそこに佇んでいた。


「今朝は、その、わざわざ布団に移してくださってありがとうございました。あと、これ、御守りなんですけど良ければ……」


ペコリと頭を下げ、そっと信長様に渡す。


信長「……ああ。」


(………?)


何となくその返答に素っ気なさというか…違和感を感じていると、信長様はそうだ、と何かを思い出したように話し始める。


信長「昨晩、貴様に言い忘れた事があった。」


そのしゃべり方はいつもと同じで……


「はい。なんでしょうか。」


(さっきの違和感は勘違いだったのかな。)

少し、ほっとする。


信長「もうすぐ貴様がこの乱世に来て三ヶ月が経つ。この戦が終わった後、本能寺にすぐ向かえば間に合うだろう。」



上手く意味を飲み込めずに目をぱちくりとする。



(突然、なに………?)


正直ここ数日、戦に同行してからはすっかり忘れていた。


信長「戦が終わり次第、貴様は本能寺に向かい、元の世へ戻れ。これは命令だ。」


「えっ…」


信長「話は以上だ。下がれ。」


そう言って信長様は言うだけ言って話を終わらせ、私を天幕から出してしまう。


(………え…?)


あんなに帰ろうとしていたのに、いざ帰れと言われると実感が湧かず、もやもやする。


(それに信長様のあの態度も………)


昨晩とは打って変わって素っ気ないというか、なんというか………




その後、何かと信長様に用を作っては天幕に行こうとしたが、全て突っぱねられてしまった。



(やっぱり、避けられてるのかな。………馬に乗ったら聞いてみよう。)
/ 162ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp