第2章 はじまりの日(イケ戦プロローグとほぼ同内容)
近くの林に駆け込み静かになるのを待って、ようやく足を止める。
(ここまで離れれば大丈夫だよね)
(……待って、ぜんぜん大丈夫じゃないかも)
ふと冷静になり、私はバックから「イケメン武将トラベルガイド」を取り出した。
『謀反を起こし信長を自害に追い込んだ光秀は、三日天下を得ましたが、後日駆けつけた豊臣秀吉によって討伐されました』
(この本に載ってるエピソードが、私の知ってる歴史だ。
織田信長が生きてて、明智光秀が謀反を起こしてないなら……)
(あれ? 歴史、変わった?)
とんでもない結論に達したその時、
リン…と鈴の音がなり、落ち葉を踏む足音が聞こえてきた。
???「夜分におなごが一人歩きとは……どうなさった?」
振り向くと、笑みを浮かべた男性がこちらに歩み寄ってくる。
(お坊さんかな……)
顕如「私は顕如と申す旅の僧だ。困ったことがあるなら相談に乗ろう」
「い、いえ……気持ちだけで十分です」
(なんだか、この人………
本能寺で信長様を襲っていた人に……似てる、ような………)
息を呑んだ瞬間、彼が大股で私の方へ踏み込み肩に手を載せた。
顕如「早く家へ帰るといい、お嬢さん。夜の森は鬼がうろついているからな」
「…っ……どうもご親切に!」
恐怖が募り、私は彼の手を逃れて、また駆け出した。
(もう嫌! 次々変な男に絡まれるし、道は整備されてないし電灯もないし……夢ならさめて!)
バッグを胸に抱いて走りながら、思わずぎゅっと目を瞑る。
???「おい!」
(え……?)
手首を誰かに掴まれて、ぐいっと引き寄せられた。
「わっ…!」
バランスを崩して倒れこみ、目を開けると…