第25章 初陣(7)
(んっ…あれ……?)
目覚めると私は布団に寝かされていて。
もう膝にあった信長様の温もりはなかった。
(まさか寝坊した………!?)
急いで天幕から出た瞬間、
三成くんとばったり会う。
「あ…おはよう、三成くん。もしかして私、寝坊しちゃった?」
三成「………。………いえ、大丈夫ですよ。」
三成くんは天幕から出た私をまじまじと見つめたあと、少し気まずそうにそう答えた。
「……?三成くんどうしたの?」
尋ねると三成くんは微笑んで、
三成「………昨晩は、信長様の所でお休みになったのですね。」
「え?……あ。」
見ると私が出てきた天幕は信長様の天幕だった。
(じゃあ信長様が布団に運んでくれたってこと……?)
信長様が実は優しいことは知っている。
(後でお礼を言いに行かないとな……)
「昨日、囲碁の勝負をしたまま寝ちゃったみたいで…悪いことしちゃったな……」
三成「…そうだったんですか。もしかして信長様と舞様は恋仲なのでは、と兵達が噂していましたよ。」
「えぇっ!?私と信長様が恋仲なんてある訳ないのに!」
驚きで目を丸くすると三成くんも少し驚いたような顔をしていた。
三成「そうなのですか?舞様は信長様のご寵愛を受けてらっしゃるのでは…」
「違うよ!信長様は私をからかって遊んでいるだけだもの。」
慌てて否定すると三成くんはふっと笑った。
三成「………そうですか。では朝餉になったらお呼びしますので舞様は今一度天幕にお戻りください。」
「うん、そうするね。ありがとう。」
(まさか私と信長様が噂されるなんて……。……まぁ、表向きには私は一応、織田家ゆかりの姫、だもんね。)
そうしてひとまず私は天幕に戻った。