第21章 初陣(3)
パチ………碁石の音が鳴る。
外も見回りの兵士の気配がするだけで、静かだ。
確認しようにも繋いだ手のせいで動くことも出来ない。
信長様と三成くんの勝負は一進一退と言った感じでなかなか決着はつかず、しかも二人共、最善手を考えて打つのでかなり時間もかかる。
勝負が始まってからもう三刻は過ぎていて、それでもまだ終わりそうにない。
(信長様…難しい顔をされてる……やっぱり三成くんは強いんだなぁ………)
信長様のいつになく険しい顔が三成くんの手強さを何より証明していた。
三成くんもとても真剣な顔で、いつもの天使スマイルの面影は全く無かった。
(うーん……そろそろ…ねむ、い……)
旅の疲れで抗いようのない眠気が私を襲いはじめ、三成くんが碁石を打った音を最後に、私の記憶は途切れた。