第21章 初陣(3)
そして信長様は碁盤を準備して……
信長様と三成くんの間に置いた。
信長様「まず三成。貴様からだ。売られた勝負だ買ってやる。」
三成「ありがとうございます。」
(え?信長様と三成くんが勝負……?)
信長様「貴様が勝ったら…先の願いとやら、きいてやろう。貴様が負けたら……そうだな、貴様はそこで見ていろ。」
三成「っ……分かりました。この勝負負けられません。是非とも勝たせていただきます。」
信長「そうか。全力でかかって来い。」
(?????)
なぜ戦の前に信長様と三成くんが試合をするのか、なぜ私がこれを見てなければならないのか…
色々とついていけない。
(っ………!?)
ふと右手に私より少し低い体温が触れ…絡めとられる。
三成「……っ」
三成くんが驚いたようにこちらを見ていた。
まるで恋人同士のように絡められた手を三成くんに見られてしまっていることと、普段の信長様からは想像ができないくらい優しい手にどうしようもなくどぎまぎしてしまう。
(信長様はいつもこうだ……口ではひどいことをたくさん言ってるくせに、触れる手つきは泣きたくなるくらい優しい。)
「あのっ…手が……」
信長様「貴様の手は先日俺のものになったはずだ。文句はないだろう?」
「う…でもその……三成くんが…」
せめて見えないように、と着物の裏に隠そうとするとあっけなく元に戻され、少し拗ねたような珍しくどことなく子供っぽい表情をした信長様が言った。
信長「それでは意味が無いだろう。」
「え?」
三成「……っ。そういう、ことですか。舞様、私はなるべく見ないようにしますのでお気になさらず。」
三成くんはにっこり笑っているがいつもより輝きが少ない気がするし、いくら見ないと言われても気になってしまう。
しかしどうすることも出来ず結局、私はため息をついてそのまま試合が終わるまで信長様と手を繋ぎ続けた。