第20章 初陣(2)
*おまけ+α*三成目線
格好つけて舞の前を歩く三成は未だに動揺していた。
出来心で目隠しをしたまではまだ悪戯で済まされる行為だった、と思う。
しかし、その後抱きしめてしまったことについてどうすればいいかわからなくなっていたのだ。
(人を好きになるというのはかくも抑えがきかないものなのですね……)
(しかし…これはもう舞様もお気づきになられてしまったでしょうか……婚前の、しかも恋仲でもない女性を抱擁するなんて無礼にも程があります……)
嫌われてしまったらどうしよう。
でも、今さっき思わず繋いでしまった手を解かずについてきてくれるということは少しは期待してもいいのだろうか?
(いやいやいやいや、いくら舞様がお優しいとはいえ身の程知らずでしたね…)
今まで、戦術書や強い武将には興味を抱いてきたが、それ以外の他人…特に女性に興味を持ったことは無かった。
女性は皆等しく、可愛らしく、守られる存在だとしか思ったことがなかった。
そういうものだと教えられたからだ。
自分にとって女性はみんな同じだった。
だからこれまで自分は女性に言い寄られることはあっても深い仲になったことは無かったのだ。
それを政宗には身持ちが固い、箱入り息子などとからかわれ、
秀吉には心配されたりしていたのだが…
男女のまぐわいを汚れたものと思っている訳では無いが、未経験なことに心から安堵する。
(元服時…夜伽を避けて本当に良かった…)
この気持ちが実る確率は決して高くなく、むしろ限りなく低いことは承知しているが、
初めて身を捧げたいと思った相手を見つけ、
それまで身綺麗なままでいられたことに喜びを覚えつつ、
先ほど信長様に伝えたあることに思いを馳せ、
舞の方を振り返り…
三成「着きましたよ。ではまた後ほど。」
舞の顔を見ないようにしつつ
笑顔でそう告げ舞と別れた。