第20章 初陣(2)
「誰…ですか……?」
油断しきっていたがここはいずれ戦場になる所だ。
それを思い出し緊張がはしる。
しかし同時に視界を覆う温もりと香りになんとなく見知った感覚を覚え、安心してしまう。
「…………三成…くん?」
空いていた左手でそっとその手に触れ尋ねるとくすりと笑う声が聞こえる。
(やっぱり三成くんだ…)
「三成くん…手を外して?」
笑いながらその手を外そうとするとあっけなくその手は外れ、
代わりに身体中に温もりが広がった。
(え………?)
三成「ふふ、やっぱりばれてしまいましたね」
そう言う三成くんの声はとても穏やかでいつも通り安らぐ声だ。
なのに私の心臓は物凄い音を立て高なっている。
(抱き締められてるの…?嘘、なんで……?)
混乱と高鳴りとで、
思考が停止して動けずに固まってしまう。
どれくらいそうしていたのだろうか。
ようやく少し落ち着き、
振り向いて三成くんの方を見る。
三成「……!」
目が合うと三成くんは途端にその腕を外し立ち上がった。
三成「えっと…舞様は何をなさっていたのでしょうか?」
すっかりいつも通りに戻った三成くんにつられて答えようとして、
「四ツ葉を…探してたの。」
(!!恥ずかしい……!)
いつも通り応えようとして出た声はかすれてしまった。
三成「四ツ葉、ですか……手伝いますね。……あ、見つけましたよ!」
意識しすぎている私とは対照的に三成くんはいつも通り親切に手伝ってくれて、最後の一つが見つかり、揃う。
「ありがとう…」
三成「あといくつご入用でしょうか?」
にっこりと笑う三成くんはさっきの事などまるで気にしてない風に見える。
「えっと、これでもう…大丈夫だよ……ありがとう、天幕に戻ろうか。」
なんとなく気まずくて早く戻ろうと立ち上がると……