第19章 初陣(1)
………………
『舞』
母の声がきこえる。
『舞、いい靴は………』
懐かしい…お母さん……
…………
……
???「きろ……起きろ。おい。舞。」
「…………んぅ……ひでよし、さん…?」
秀吉「ほーら、舞。いい加減起きろ。」
段々と意識が浮上してくる。
なんで…いつもより早くない…?
……ん?早い……?
「………!!!」
目が覚め今日が出陣の日だったと思い出し慌てる。
「秀吉さんっ、おはようございます!ごめんなさい私まだ準備が………!!」
慌てる私に秀吉さんは苦笑し、
秀吉「お前の荷物は勝手だけど俺がまとめておいた。あとはもうお前は着替えるだけだ。ほら、俺達は出ていくからさっさと着替えて門まで来いよ。」
「あ、ありがとう………」
焦りと申し訳なさで半泣きになりながら急いで支度する。
着替えが終わり下駄を履こうとすると…
「……あれ?」
いつも履いていた下駄が無くなって、代わりに私が現代からやってきた時に履いていたハイヒールがそこにあった。
「…おかしいな。」
これじゃ流石に馬に乗れない、と思いとりあえず靴をどかすため持ち上げると……
「???」
馬にも乗れるようヒールが埋まり厚底のようになっていて、しかも前よりも綺麗に補修されていた。
「えっ……」
秀吉「あぁそうだ、舞。言い忘れていたけど戦用に履きやすくしておいたから折角だ。履きなれてるだろうしそれを履いていけ。」
突然、秀吉さんがひょっこり現れ何でもないことのようにそんなことを言い出す。
(………これしかないし仕方ないよね)
『いい靴は履いた人を素晴らしい場所に連れていってくれる』
今朝ちょうど夢で見た
母の言葉が蘇る。
(戦なんて素晴らしい場所とは真逆だけど……)
みんなの無事を祈るにはある意味これがピッタリかもしれない。
そう思い私は履きなれたお気に入りの靴(戦国ver.)を履き門へと駆けていったーーー。