第18章 ×××の分析(?)
ある日、舞様は信長様の御命令で戦に付き従うことになりましたね。
軍議が終わり
糸が切れたように
ぽろぽろと泣き出す舞様に
すっと手拭いを渡す家康様をみて、
一足遅く手拭いを出していた私は
初めて、
戦以外で悔しいと思いました。
…そして胸が苦しくなりました。
こんな胸の苦しみは舞様と出会って初めて知りました。
貴女は本当に私から色々な感情を引き出してくれる。
…知識をいれ、分析するばかりだった私自身を見つめる機会をくれたのは、
舞様、間違いなく貴女です。
ありがとうございます。
この後涙の理由を知って、
いてもたってもいられなくなりました。
舞様は私が理解できないくらい優しいから泣いてしまわれたのでしょう。
きっと部屋に戻り一人で泣いて居られるから。
急いで舞様の部屋へと行き、
そこで貴女のすすり泣く声を聞いて私はあの時
………実は後悔しました。
私のような戦で身を穢す者が聞いてはいけない涙だと思ったから。
舞様を想って膨らんだ気持ちは
舞様を想って後悔でしぼみ、
私はそのまま部屋の前で座り込んで考えることにしました。
今思うと……いえ、今思わなくてもあれは逃げだったのでしょうね。
その後舞様にお部屋にお招きいただき
お話をして、
舞様は優しいだけでなく、
何か私には理解できない考えをお持ちだと直感いたしました。
そして舞様の真っ直ぐさはそのお考えからきているとも。
手の届かないお方だ、と思いました。
とても眩しく見えたのです。