第17章 ×××の独話
舞が出ていったあと。
眠れないから、いつものように脇息にもたれ息をつく。
思い出すのは先ほど出ていった舞のことだ。
「貴様、天下人の女になる気はないか?」
そう言うと頬を赤く染め、逃げ出した。
この俺に楯突き、逃げる女が居るとは。
ーーーー初めはただ面白いと思って側に置くことに決めた。
数日かけてようやく見つけると
俺をひどく恨んでいる真田と共に居るから
さらに興味が湧いた。
まるで乱世に巻き込まれることを
運命としているように思えた。
真田と共にいた男をかばい俺の許に来ることを決め、それでも俺に楯突き、はっきりとものを言う。
命の尊んでいるのかと思えば、
俺に向かって命知らずにも真っ向から楯突く。
ーーーきっと俺が止めなければ数十回は秀吉に斬られているだろうな。
安土に連れてきて、
化粧でも何でもしていろと言うと居候は嫌だといい仕事を求める。
姫として着飾らせた時は
意外にも似合っていて内心驚いた。
世話役として連れてくればまたも俺の命を救い、あの秀吉の信頼を早くも得る。
針子の才をもち、布や着物を手にするととても活き活きとした顔で笑う。
………戦に連れていくと言ったら泣きそうな顔になりながらも涙を堪えていたな。
そして夜、俺には到底理解できないようなぬるい考えを話し、
戦をして欲しくないと頼んできた。
戯れに囲碁の賭けをはじめたがこれがなかなか面白い。