第16章 初陣 〜前日譚〜
そしてその夜ーーー。
三成「舞様、起きていらっしゃるでしょうか?」
「うん、まだ起きてるよ。入って。」
三成くんがやってきた。
羽織を持って。
三成「………あの、この羽織…」
何故か妙に歯切れの悪い三成くんを見てすこし心配になる。
「もしかしてほつれとかあった?」
三成「いえ!とても丁寧な縫製です。……その、これ……」
そう言って取り出したのは仕込んであった御守りだ。
「あ…気づいてくれたんだ。」
三成「はい…その、お礼を言いたくて参りました。ありがとうございます。ご期待に添えるよう精進します。」
「……っ、いえいえそんな、こちらこそわざわざありがとう。気づいてくれて嬉しかった。」
三成くんははにかみながら天使スマイルを浮かべる。
三成「……では、あまり夜遅く女性の部屋に長居するのもいけませんし、失礼しますね。おやすみなさい。」
そう言って三成くんは部屋を出ていく。
ほこほことした心地で、
私はその夜久しぶりにぐっすり眠ったのだった。