第2章 可愛いお姉さん
「ボーッとしてたって何?腹でも減った?」
「あはは!それもそうだけど。昨日ちょっと夜更かししちゃって、眠いんだよねぇ」
聞けば、レンタルした映画を遅い時間に見始めちまったらしく、見終わった頃には一時を回っていたのだと言う。
さっきの俺と同じように、梨央ちゃんも口元を手で覆いながらあくびをした。
目的の物を英語担当の先生の机に置くと、俺たちは職員室を出る。
「ありがとね、てっちゃん」
「ビックリさせたお詫び」
「ふふっ。うん、確かにビックリした。
…ね、ほんとにパンツ…見えてた?」
梨央ちゃんは恥ずかしそうに俺を見上げてくる。
普段大人っぽいけど、こういう仕草は可愛いんだよな。
「黒だろ?」
「……見えてなかったんだ」
「じゃあピンク?」
「違う」
「んー…そんじゃあ水色か?」
「……」
「ほほーう、水色ですか」
「もうっ!セクハラ!」
いやいや。
こんな誘導尋問引っ掛かる?
ほんと、可愛いセンパイだな。
さっきみたいに頬を染めて、梨央ちゃんはムスッとした顔をしてみせる。
「クラスの女の子には、そんなからかい方しちゃダメだよ?可哀想だから」
「はいはい」
赤面しながらも、こういうお姉さんの態度は忘れないんだよな。
「なぁ、梨央ちゃん。次サボらね?」
「え?」
「俺も眠いし。天気もいいし。屋上で昼寝しようぜ」
梨央ちゃんは少し考えたあとニヤッと笑い、大きくうなづいた。