第5章 ご褒美
*月島視点*
「ナニコレ?」
「ナニコレって…回答でしょ!?」
「『この時のノリコの心情を答えよ』が、どうして『ノリコの気持ちはノリコにしかわかりません』になるの?」
バカなの?
「あ!今『バカなの?』って思ったでしょ!?」
「……」
文章は読み取れないのに、何で僕の心は読めるのさ?
「はぁ…じゃあ次。『人の忠告や意見を聞き流して、受け入れようとしないことを何と言うか?馬の耳に○○』」
「えっと…馬の耳に……あ!真珠!?」
「ハァ?バカなの?」
「酷い!バカって言った!!」
「馬の耳に真珠って何?馬がイヤリングでもしてるっていうの?『馬の耳に念仏』が正解ね。まさに汐里のこと。覚えやすくて良かったじゃない」
「もう嫌!ツッキーいっつも意地悪なんだから!」
「意地悪じゃない。指導」
この後も汐里は珍回答を連発。
あー…出来の悪い生徒を持つと、ホント疲れる。
隣に腰掛ける汐里を見てみれば、フグみたいな膨れっ面をしている。
確かにバカなんだけど。
まあ、宿題は真面目にやってきてるし、授業も真剣に聞いてる。
努力だけは認めてあげなくもない……カモ。