【マギ】 A Trip to MAGI World
第8章 Premonition
〈真愛side〉
わたしには、ルフは見えない。
でも、その私でも、はっきり感じられる。
…黒く濁った、ルフの気配を…
振り返る前から、誰なのか予想はついていた。
「…玉艶…さ、ま…」
「真愛ちゃんね?初めまして」
神官に囲まれた、玉艶が微笑む。
その顔は、白瑛様に少し似ていた。
違うのは、この人の笑顔は、何か黒い。
「日本から来たのでしょう?」
…えっ!?
「ど、どうして…?」
「私たちの情報網を、舐めないでほしいわね」
…‼
私『たち』…!
そっか、聞かれてたんだ…!
だから、ジュダルは私の名前を知ってたんだ。
何で気付かなかったんだろう…。
「あなたは、まだ誰にも話している情報を持っているんでしょう?違うかしら?」
…!
まさか、それが目的…?
「私達に教えて下さらない?」
口調は丁寧だけど…
『どんな手を使ってでも吐かせてやるから、今言えば楽だぞ』
ってことでしょ?
「私はね、あなたについても興味があるの。異世界の人の脳の作りは違うのか、とかね」
…私を解剖している玉艶を想像しかけた。
怖いからストップがかかった。
「でも、あなたが情報を教えてくれるなら、それは我慢しましょう。どう?悪くないでしょう?」
…玉艶って、こういうキャラだったっけ?
何だか、楽しんでいるみたいだ。
・・・待てよ?
わたしに情報を聞きたいってことは、玉艶の知らない情報を私が持っているって、認めているってこと。
そして、実際そう。
玉艶の知らないことを、私は知っている。
「…分かりました。」
わたしはそう言った。
玉艶からの反応がないので、続ける。
「話します。解剖されちゃうのは嫌ですし、それに…」
少し迷う。
言っていいのかな。
…でも、「それに」って言っちゃったから、言うしかないよね。
「…それに、あの人との約束、だから…」
なんか芝居がかった、思わせぶりな言い方になっちゃった。
「あの人?」
玉艶は少し眉を持ち上げた。
私はそれを無視した。
「玉艶様、お願いがあるのですが…」
無視したことで、玉艶が少し苛ついてるのが分かった。
玉艶とはいっても、人間なんだな。
「…お願い?何かしら」
「話すのは、玉艶様お一人にしたいのです」