【マギ】 A Trip to MAGI World
第9章 It is time to tell the truth.
〈ビルギスside〉
「おぉ、新入りか!」
「どの子だ?」
「おいっ!超かわいいじゃねぇか!」
「本当か!どけ!」
話題と視線が私に集まる。
「…どういうことなの?ソロモン」
「言った通りだ」
「私が、抵抗軍の、一員…?魔法が使えないのよ?何の役にも立たないじゃない!」
つい声が大きくなった。
その場の空気が一変する。
「…ならばどうする?飢死したいのか?」
セッタさんが言った。
「そういうわけじゃ…でも、何もできない…」
弱音ばっかりだ。
自分がバカみたい。
「だって、言われたもの。魔法が使えないなら、異種族だって。用無しだって。だから…っ!」
こらえていたものがあふれてきて、その場に崩れ落ちる。
嫌ね、みっともないわよビルギス。
でも涙は止まらないもの。
そのまま泣き続けて、やがてさすがに疲れて泣き止んだ。
そうなると、恥ずかしさがこみあげる。
あぁもう何なのよ。
「何もできなくないよ!」
シバが言った。
「だって、魔法がなくたって、異種族たちは生きているんだから!」
…励ましてくれてるんだ。
「そうだよ。君はまだ若いんだから、何もできないなんて思わないで。」
アルバさんもそう言ってくれた。
「カワイ子ちゃんはいるだけで癒しだぜ!」
「ははっ、違いねぇな!」
ここの人たちは、とても温かい。
「…あの、さ」
ウーゴさんが遠慮がちに声をかけてきた。
「僕、魔法理論は得意なんだ。多分何か、君の役に立てると、思うよ」
照れたようにウーゴさんが笑った。
「…ありがとう」
あれ、また視界がにじんできた。
「ほんとよく泣くなぁ。」
イスナーンが呆れたように笑った。
でも、声が温かい。
「自己紹介してやんな」
ソロモンがそう言った。
私は涙をぬぐった。
「ビルギスです。これからよろしくお願いします!」