【マギ】 A Trip to MAGI World
第6章 Departure
〈真愛side〉
その日の夜。
「それにしてもすごいね、これ」
「そうでしょう?内緒で作ってたのよ」
本当にありがたいよ。
「明日はそれを着てね」
「うん。…そっか、明日かぁ」
やっぱり、寂しいなぁ。
「私も、明日…あの国に行くんだわ」
「あ…」
そっか。
自分のことでいっぱいで、忘れてた。
でも、アリシアは私のことを考えてくれていて、こんな服まで作ってくれて…
「ありがとう、アリシア」
小さく呟いた。
アリシアは聞こえたのかどうなのか、黙っている。
少ししてアリシアが口を開いた。
「感謝してるのは私の方よ、真愛」
「え…?」
どうして?
私感謝されるようなこと…
「私、この国に逃げてから、あまり人と関わらないようにしてきたの。あんなこと(p25)が起こるのが怖かったから。侍女になってからの4年間、心を開いたことは一度もなかったわ」
そうだったんだ…
「1年前、真愛に全部打ち明けた時、心が軽くなった気がしたの。真愛と仲良くなってからは、他の人にも心を開けるようになったわ」
確かに、一年前よりもアリシアは明るいし、活発。
皆とよく話しているし、自分の意見を言うことも増えた。
「思い出したの。昔、マノンやママと楽しく暮らしていた時は、私、明るい人だったんだって。この一年間、とても楽しかったわ。そしてこれからも、私はたくさんの人と関わり合って、楽しく生きていける気がするの。真愛のおかげよ。真愛は私の恩人だわ。」
「そんな…それはこっちのセリフだよ!」
「えっ?」
「私、この世界に来たばっかりの時、何が何だか分からなくって、不安だった。でも、アリシアがいてくれて、色々教えてくれたから、この一年間、私もすごく楽しかった。ありがとう、アリシアこそ私の恩人だよ」
「真愛…」
「少し、離れ離れになるけど…」
「それでも親友よ!すぐにまた会えるわ!」
「うん!それまでお互い、頑張ろうね!」