【マギ】 A Trip to MAGI World
第6章 Departure
〈真愛side〉
楽しい宴だったなぁ。
宴が終わって、片付けている人が数人いるだけの、静かな夜。
「真愛?」
「ジャーさん」
「ここで何を?」
「ん、ちょっとね…」
空を見上げてみる。
今日は新月。
満天の星空がより輝いて見える。
「眠らないで平気ですか?」
「ジャーさんこそ。今日はお酒飲まなかったの?」
「えぇ、まぁ」
今度は大きく深呼吸してみる。
南海の楽園とはいっても、夜は風が冷たいなぁ。
「…いい国だね、ここは」
「そうですか?」
「うん。空気はきれいだし、国民は活気にあふれてる。ずっとここにいるのも、悪くない気がするんだ」
本心だった。
「でも、行くのですね。」
「うん。明後日、あと二日」
もうすぐなんだな、って改めて思う。
「…私がもしシンに出会えていなかったら、今でも暗殺者だったでしょう。この国で国民や八人将と、楽しく暮らせているのは、シンのおかげなんです。あなたにも、たくさんの出会いが待っていると思いますよ。」
「そうだね。たくさんの人と出会って、もうちょっと強くなったら、帰ってくるよ」
ひゅう、っと風が吹いた。
「寒いでしょう?温暖な国ですが、夜は冷えますからね」
「ほんとにね。出発前に風邪ひいちゃいそう。」
冗談で言ったけど、それは困るなぁ。
「じゃあ私、そろそろ戻るね!」
「はい」
「ジャーさんは?」
「私はここで片づけを手伝いますよ」
「大変だねぇ。仕事熱心なのはジャーさんのいいところだけど、睡眠時間もちゃんととってね」
「そうですね…」
まぁ、無理なんだろうけど。
王様がアレだからね。