【マギ】 A Trip to MAGI World
第2章 My charm who deceives you
〈ヤムライハside〉
「ヤム~!ショッピングいこ~!!」
いつも通り、ピスティにそう誘われた。
「ピスティ、気持ちはうれしいけど、研究があるから・・・」
「もぉ~ヤムったら、いっつもそれ!今日くらい、いこっ!」
「でも・・・」
確かに、悪いな、とは思った。
最近はずっと研究室にこもりっきりで、毎日ピスティのお誘いを断っていた。
「そうですよ、ヤムライハ。研究に熱心しすぎて、何度も食事を抜いたりして…。みんな心配していますよ」
「ああ、ピスティだって、いつもお前と遊びたがっているんだぞ」
「ね!王もジャーファルさんもこう言ってることだし!」
ついに断れなくて、ピスティと市場に行くことになった。
「あー!やっぱり楽しいな!つぎどこいこっか?」
ピスティったら、いろんな洋服を私に着せて1人で楽しんでるんだから…
帰って研究したい、なんて言えないしなぁ…
「んー、もう服はいっぱいみたから・・・」
「まだ3けんだよっ?あ、じゃあアクセサリーショップは?」
えぇー、と言いたかったけど、言えなかった。
誰かの声に、かき消されたから。
「助けて!誰か、助けてぇー!」
「・・・ヤム、今の」
「えぇ。向こうの方からだわ。私が行く」
「私も!」
ただのチンピラどもだとは思うけど・・・
あぁ、きっとここで何かあったのね。
そこには人だかりができていて、その全員が祈っていた。
「何があったの?叫び声が聞こえたけど」
「ヤッ、ヤムライハ様!ピスティ様も!」
「あの、それが・・・」
「つまり、少女が6人の怪しい男に捕まって、連れていかれたということね?」
「そいつらは向こうに行ったんだね?向こうっていったら…」
「きっとあそこね。行くわよ、ピスティ」
そこは、ゴロツキたちの集う路地だった。
そこに、6人の男と1人の少女がいた。
1つ意外だったのが、少女が泣いても、怒っても、震えてもおらず、目立った傷も服の乱れもなかったこと。
「ヤムライハ様!?...と、ピスティ様!なぜ…!?」
私たちに気付いた少女が言った。
「助けてって声が聞こえて…それよりも大丈夫なの!?」
少女の返答は、私達の頭を混乱させるものだった。
「はい・・・まぁ、私は。それより、彼らの方が大丈夫じゃないと思います。頭の中がおかしくなってるみたいですから」