【マギ】 A Trip to MAGI World
第3章 I Charm Is Non-Discrimination
〈アリシアside〉
「そうでしたか!っ数々の非礼を」
そう言ってベッドから降りてひざまずく真愛。
貴族って打ち明けた瞬間、こうなった。
「あ、昔の話だからね?今はただの侍女よ」
「で、でもじゃあ、どうして侍女やってるの?」
「まあいろいろとね」
「そっかぁ」
「バルバッドのこと、知ってる?」
「まぁ、そこそこかな?」
「じゃあ、すごく治安が悪いっていうのは?」
「…知ってる」
「その割に王族貴族は贅沢してるっていうのは?」
「…知ってるよ」
意外とこの人、知ってる。知ったかじゃないよね?
「家族みんな馬鹿みたいで。ブタみたいな顔してるくせに、綺麗な人でも一般庶民ってだけで醜いっていうし」
「そっか」
「でもママは大好きだった。娼婦なんだけど、ブタ(お父さん)が気に入ってる妻で、かわいくて心優しい。」
「うん。」
「私には友達がいた。マノンっていうの。短い茶色の髪に緑の瞳。すっごくかわいかった。」
「そっか」
「マノンは、貧しい暮らしをしていた。食べるものもないくらい」
「私は内緒でパンを持って行ってた。ママに協力してもらって。マノンは、どんどんふっくらしていった。私はうれしいって思ってた。でもそのせいでいじめられてね。どうしてそんなに食べられるんだ、って。マノンは、私の名前を一切言わなかったの。私を守るために。なのに私、気づけなかった」
涙がでてきた。泣くつもりなかったのに。
「でも、結局ばれて。私はお父さんに何度も殴られそうになった。でもそのたびに、殴られるのはママだった。いつも、わたしをかばって・・・」
「私がいなくなったら、マノンもママも怪我せずに済むのかなって。それで私、死のうと思ったの。でもママに止められた」
「でも私、もうこんな思いしたくないって叫んだ。そしたらママが、ごめんねって泣いた。自分が情けなかった。そして、ママは外国に逃げてって言った。それで、ここに来たんだ。」
「…そっか。」