【マギ】 A Trip to MAGI World
第3章 I Charm Is Non-Discrimination
〈ヤムライハside〉
「でも、事実ですから。」
そう真愛が言ってから、王の様子が変わった。
そしてその様子は、あのゴロツキ達の取り調べの時と似ていた。
そのことに気が付いたのは、ピスティも同じで。
王宮を案内すると言って、自然に私の部屋へ誘導するつもりだった。
でも、途中であの二人と会って。
あの二人まで様子がおかしくなったから、作戦を変更して、連れてきた。
「失礼します。わっ、いろんな術式が…」
そしてこれが、真愛の第一声。
まぁ、そうかもしれないけど。
この子、事の重大さがわかってないの?
下手したら、重罪人なのよ、あなた。
だから、第一声は無視して、隣の部屋(そこも私の部屋)で問いかける。
「真愛、まず聞くわ。王に何かした?」
それを聞いた真愛は、私の目をじっと見た。
あら、この子、紫の瞳だったのね。
「どうかしたの?」
私がそう答えると、彼女はふぅ、と息を吐いた。
「こうしただけです。」
・・・それは、さっきの私の質問の答えなの?
「こう・・・って、目を見る、ってこと?」
ピスティが、そう聞いた。
「はい。」
どういうこと?訳が分からないわ。
「もっと詳しく、説明してくれる?あなた、魔導士なの?」
「いえ、違うと思います。ルフは見えないし」
「なら、なんなの?」
そういうと、彼女は黙り込んでしまった。
「あのね、もしもあなたが王に危害を加えたとしたら、重罪人になるのよ。違うなら違うって、はっきり言って。」
彼女はもう一度、ふぅ、と息を吐いた。
「…わざとでは、ないんです」
―――――わざとではない・・・?
なら、故意ではなくとも、王に危害を加えたということ?
「会話が、外に聞こえることはありますか。」
よかった、話すつもりね。
「よっぽど大声で話さなければ、大丈夫だよ」
ピスティがそう答えた。
「聞かれたらまずい話なの?」
私は少し意地悪な質問をした。
「女官さんとかなら、いいんですけど。男の方には・・・」
・・・
この子は、意味不明な言動が多いわね。
「お二人には話します。助けていただきましたし」
そう言って、彼女は話を始めた。