【マギ】 A Trip to MAGI World
第3章 I Charm Is Non-Discrimination
〈シンドバッドside〉
この、真愛という女性が部屋に入ってきたとき、美しい人だな、と思った。
話を聞いて、怪しげな女性だと、思った。
しかし、さらに話を聞くと、なかなかに面白い女性だと思った。
そして。
今、目があった。
彼女の目は、漆黒のように見えた。
しかし、その奥に、煌めく紫色があった。
俺はその色に吸い込まれるようで
彼女の瞳から、目が離せない。
彼女と俺の目が合っていたのは、数秒だった。
「信じてもらえないのはわかっているんですが、それが事実なんです。」
「・・・シン?」
「ん?」
「どうしました?ボーっとして」
「あぁ、すまん。で、何だったか?」
「えと…信じてもらえないのは…」
「あぁ、信じよう。」
「シン、あなたさっきまで『信じると思うのか?』とか言ってたんですよ?」
「真愛が嘘をついているようには見えなかった。」
「・・・それだけ?」
「あぁ」
「シン、ほかに何もないなら、彼女は起きたばかりですし」」
「…真愛、君はこれからどうするつもりなんだ?」
「えっ?」
「金はあるのか?」
「いいえ・・・市場で働こうかと思っていましたが・・・」
「こんなことがあったのだから、市場では働きずらいだろう。そこでだ。真愛、王宮に仕えないか?」
「ひぇっ?」
「使用人や侍女としてでも、文官や武官としてでもいい。どうだ?」
「・・・いいのですか?」
「もちろんだ。この俺が言っているのだからな」
「では、お言葉に甘えて、1年間だけ。宜しくお願いします。」
ん?
「まてまて、なぜ1年間なんだ?」
「ずっとお世話になるわけにもいきませんし。」
んん?
「俺は構わんが…」
「いえ、1年だけ、お世話になります。」
・・・まぁ、いいだろう。
「分かった。」
「シン、ほかに何か…」
「ない。」
真愛が部屋を去った。
「すまんが、すこし一人にさせてくれるか」
そう言うと、2人も去った。