第1章 rain of lust
「・・・あ・・・、ぁ・・」
数分に渡る激しい口吸いは、名無しの呼吸を、一時的に力も奪った。
砕けそうになった腰をお決まりの様に抱き込む仕草も慣れたものだ・・・ナッシュは名無しを抱き上げると、有無を言わさず浴室へと向かった。
いとも簡単に服を脱がされ、下着を剥ぐ間さえキスを惜しまない。
まるで閉じ込められるように押しやられると、名無しは恥じらいながら胸元に両手を宛がった。
バルブを捻られ、自分より遙かに高い位置にあるヘッドから流れてきたシャワーにあたれば、名無しはその冷ややかな感触に悲鳴を零す。
が、少し経てば勿論それは高温の湯に変わる・・・心地よく身体に触れると、そのときには次いでナッシュも脱衣し終えており、足を踏み入れて名無しを追いつめた。
「ッ・・・あ・・」
「おいおい・・・逃げるなよ。・・・洗ってやるっつってんだ・・・素直に喜んだらどうなんだ」
「・・・ふ、・・んん・・・」
「汗、掻いてたろ・・・今日はそれなりに暑かったしな」
「・・ッ・・・、ナッ・・!あ・・・」
シャワールームでの二人の会話は、その部屋にならいよく響いていた。
暴れ過ぎれば危ないことも分かっている・・・だから思うように抵抗できない名無しの背後にナッシュはまわる。
彼はスタンドに置いていたボディーソープを、スポンジを介さず手中に取ると、そのまま名無しの艶やかな肌にすっと滑らせた。
「ん・・・っ・・」
腕を通り、脇をなぞられ、腹部にも触れられる。
そのどろっとした白い液体は、ナッシュの手の中で次第に泡を立たせながら名無しを包んだ。
胸元は膨らみも背後から揉みし抱かれ、先を指でつままれる。
明るい場所で、それも全裸なのだ・・・ナッシュの気まぐれな行動に名無しは気持ちが追い付かず、羞恥心高らかに足を竦ませた。
膝をすり寄せたくもなったこと・・・きっと、その真意は彼に気付かれていると分かっていても――。