第1章 rain of lust
「・・・・一人・・・?」
「ん?ああ、・・・さっきまであいつらと居たぜ・・・単に気が変わって帰ろうと思っただけだが・・・まさか帰り道、目の前で揉めてるヤツの片割れがおまえだったとはな・・・」
「・・・・知らない人は・・」
「あ・・・?」
「・・・きらい・・。知らない人に声かけられるのも・・触られるのもいや・・・。ついていったりなんて・・・」
「!・・・・ハ・・ッ・・・おまえ、寝言は寝てから言えよ・・!どこの女だったか・・・目ぇ付けられて逃げられねえまま、連れ込まれた部屋でキャンキャン啼いてたヤツはよ・・っ」
「っ・・だから・・・・それはナッシュだったから・・!・・・・ッ・・・、違う・・・こんな。――・・・今のは忘れて・・」
「・・・・・・」
下手な駆け引きなんて出来たものじゃない。
相手はナッシュなのだから・・・それでも名無しはぎりぎりのラインでしつこく問いを続けると、彼は他意無く返答し、名無しの疑念を杞憂で終わらせた。
たとえそれが演技でも、事実でも。
その場で応えたナッシュの言葉は、ストレートに零されたものだった。
全ては偶然・・・彼がそう言うのであれば、間違いなく少し前まではいつものチームメイトと居て、一人帰るところだったのだろう。
信じようとするあたりもまた、自分の健気さを名無しは胸の内嘆いた。
「来いよ・・・どうせ帰るだけだったんだろう?」
「ッ・・・・あ・・」
「あァ・・?赤くなってるじゃねえか・・・手首。そういや肩も触られてたんだったな・・・流してやるよ。・・・オレが全部―――」
「・・ッ・・・・」