第1章 優しい人 (あんずside)
結論から言うとーー
UNDEADはやはり、強豪ユニットだった。
周りからそう言われる意味が改めて分かった。
私なんかがいなくても、
むしろ、私の方が学ぶ事がたくさんたった。
自分の力不足さを知った。
朔間先輩はDDDの時にtricksterを助けてくれただけあって、完璧だった。
羽風先輩もいつも練習してないの?と疑わせるくらいに、素晴らしかった。
アドニスくんはいつも寡黙な印象だったけれど、ライブの時のように、迫力があって圧巻された。
でも1番見入ってしまったのはーーー
エレキギターを掻き鳴らし、ド派手なパフォーマンス。
歌もダンスも何もかもずっと見とれていた。
純粋に かっこいい と…
思ってしまった。
そう、〝大神晃牙〟にーーー
「今日はもう、終わりじゃ。
久々に全員で練習したのう…
血が騒いだわい…♪
嬢ちゃんのおかげじゃよ、ありがとう。」
朔間先輩がお開きの宣言をした。
私のおかげ…? 何がだろう。
すごいのはUNDEADであって私は…
「外も暗くなってしまったのう…
我輩、嬢ちゃんの家まで送りにーー」
「ほら、あんず。 帰んぞ。」
朔間先輩が言い終わる前に、大神くんが私に言った。
相変わらず、先輩はニヤニヤしている…
何かあったのだろうか…?
私は早々と荷物をバックに入れて、
ドアの前に立っている大神くんの所へ行き、
まだ部屋で片付けをしている3人に、
深々とお辞儀をして、大神くんと一緒に部屋を出た。
バタンー
「あーあ、なんか、見せつけられた感じがしたなぁ。
わんちゃんはあんずちゃんに優しすぎない?」
「大神は多分、あんずと一緒にここに来ようと、俺たちが教室を出るのを待っていた。」
「くくく…
さて、どうかのう♪ 楽しみじゃのう♪」
すっかりと暗くなり、自称吸血鬼の朔間零は
目を細め紅い瞳を輝かせて、楽しそうに笑っていた。